「ほっ!と一息家族」エピソード - ファミリープロミス    ほっ!と一息家族エピソード

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2018年07月16日    ※イラストはイメージです

迷いながら続けること

子育てをしていると、自分がどんな人間だったか忘れてしまうことがある。

理不尽なことで泣いて、短い手足で思いっきり私を叩き、蹴る子供をなだめて、気をそらせて、ピエロみたいにおどけてみたり、だんだんこちらも腹が立って怒鳴ったり、時には手が出てしまうとき、「こんな子育てをしたかったわけじゃないのに」と落ち込んでしまう。

私って、こんなに怒る人間だったっけ?
しかも、怒り方もネチネチと嫌味たらしく、子供に分かるはずもない言葉を使って子供を追い詰める。

子供がもう少し大きくなったら、分別が付き、言葉も理解し、空気だって読めてしまうかもしれない。もう少し、わかっている。
なのに、今日もまた、怒ってしまう。

先日、いつも通り長男がぎゃんぎゃん泣きはじめた。「お母ちゃんがトイレ連れて行ってくれなかったから、ウンチが逃げちゃった!」・・・
今まで夢中でテレビを見ていたくせに。便意を催したとは一言も言ってなかったくせに。

テレビが終わったのをしおに、さっきまであった便意を思い出したのだろう。私を叩く、蹴る、引っ掻く、かみつく。ぽろぽろと涙をこぼして。
でもその日はなぜか、腹が立たなかった。

1012701.jpgこんなことで涙を、エネルギーを、大きく無駄使いする息子が、お馬鹿で可愛いな、と思った。
なので、思わず笑ってしまい、抱きしめてみた。

すると、息子も笑った。
少ししたら落ち着いて、「ウンチ行こうか」と誘うと、素直に応じた。「お母ちゃん、ごめんね」とまで、言ってくれた。

少し離れて子供を見たら、許せることもあるんだと学んだ出来事だった。
完璧とも、理想ともほど遠い子育てだけれど、私らしく(なるべく怒らず)、続けていこうと思う。

(30代・女性)
posted by ファミリー・プロミス at 12:03 | 「ほっ!と一息家族」エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大当たり!

572758.jpg 釣りなんか興味ないんだけど、夫に強く誘われて海へ。驚いたのは女性がけっこう釣っていること。こりゃ見てるばかりじゃ恥ずかしい、と夫に餌を付けてもらって私も挑戦。すると、さびきで小アジがかかることかかること。夫よりも多く釣って、夫の面目なしといったところ。

 その内、凄いあたりが来て、その重さに驚いてワーワー声をあげたものだから、回りに人が集まってきた。糸が弓なりになって私の力では上がりそうもない。夫に助けてもらっていると「なんだ、なんだ」と外野席が糸の先を待ち焦がれた。やっと引き上げると、食らいついていたのはボラ。水が引いたように皆さん解散。その後、糸がもつれて外すのが大変。ボラって釣り人泣かせの厄介ものなんだって。

 ま、釣れた時の手応えがいいのですね。この手応えがうれしくて、釣り人は何時間も釣り糸を垂れるのですね。いい経験をした。また夫と行こう。私がまんざらでもない様子に誘った夫が満足そうだった。

(60代・女性)
posted by ファミリー・プロミス at 11:56 | 「ほっ!と一息家族」エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

孫は強し

073524.jpg 久しぶりに娘の家族と初夏の高原旅をした。牛や馬、ヒツジにヤギがいる大きな牧場脇の小道をのんびりと散策したが、身体が覚えていたというのか、バライチゴや桑の実がなっていないか次第に小藪の方に目が行くようになった。それを知ってか、夫からどうやらここには無い様だねえと声をかけられる。

 そして木漏れ日のテラスで地元産ふんだんの昼食。小気味よいが少々の疲れもあったのでこのあと宿泊先まで循環バスの利用を提案すると、せっかくだから歩こうと娘の家族が言う。ようしと気を取り直し緩やかに下っていると、道に紫や赤の実がたくさん落ちている。

 アッと声を漏らしながら見上げると大きな桑の木。早速腕を伸ばして一粒口にすると、これが甘くておいしい。すると孫も娘からもらって笑顔を見せる。「願っていると叶うとはこのことね」と言うと、娘から「頑張って歩き通したごほうびよ」と声がかかる。

 しばらくはどっちだ、両方だのやり取りになったが、「ごほうびです」と孫から声が上がった。あら、終始笑顔でいても結構頑張って歩いていたんだと思い直し、「そうよね、ごほうびよね」と言い孫の頭を撫でてやったところで決着した。

 まことに孫は強しのまざまざ体験とみんなで笑い合った。

(60代・女性)

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2018年07月14日    ※イラストはイメージです

子は鎹(かすがい)

fa9f2836bc107a567dda913e16b123e4.png 長く夫婦をやっていると行き違いは必ずあるもの。先月から、その空気を察していた娘が休日に妻とどこかに外出した。

 だが、いつになっても帰ってこない二人に私は苛立ち、遅い時間に帰宅した娘と二人だけになった時、なぜ連絡をくれないのかと厳しく問い詰めてしまった。その時娘の目から涙が見えた。娘が子供の頃でも怒って泣かせた事はなかった私だが、23歳になった娘を初めて泣かせてしまった。

 娘曰く両親の関係修復の為に妻の好きな横浜まで行き気分転換を図り、妻から愚痴を聞き、妻の気持ちをスッキリさせ私たちの仲を取り持つ努力をしていたと答えた。「以前の様に仲の良いお父さん、お母さんに早く戻ってよ」と涙ながらに娘から諭された。

 娘の涙は意固地で閉ざされていた私の心を開かせるには十分な薬となった。私は娘の気持ちも知らないで泣かせてしまった愚かな行為を素直に詫びた。

 翌日から娘に注意を受けた妻の不満を直すべく努力を続け、現在は完全に元の仲の良い夫婦に戻る事ができた。あれから仕事が多忙となり帰省ができない娘に電話で近況を報告すると「良かった」と喜んでくれた。

 いくつになっても子は鎹。娘が我が家では一番大人なのかもしれない。

(50代・男性)
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2018年06月25日    ※イラストはイメージです

発散!

kendo1_color.jpg 家に3人も幼児がいると、さっきまでじゃれあって遊んでいたと思ったら、すぐに喧嘩がはじまる。上が女の子で、下が男の子2人。お互いに体も大きくなってきて、叩いたり蹴ったりする力も強くなってきた。ぎゃんぎゃん泣く声も、半端なく大きい。どこか健康的に発散させてもらえる場はないものかと探していたら、とうとう見つけた。

 地域で力を入れている、剣道だ。お試しで数回行ってみたら、思った以上に子供たちが気に入ってしまった。家では「大きな声を出さない、走りまわらない、叩かない」と言っていることを、ルールさえ守ればすべてやらせてもらえるのだから、子供にとったら最高の環境のようだ。

 特に男の子たちは、練習用の竹刀を持って、先生の竹刀を思いっきり叩かせてもらうのが快感らしい。姉は呑み込みがいいのか、まだ数回なのになかなか様になってきた。練習が夜にあるのが難点だが、剣道に行くために早めの夕食とお風呂を済ませて、だらだらとTVを見ている時間も無くなった。練習が終わればすぐに眠ってくれるから、寝かせつけも楽だ。

 これで、家での喧嘩が少なくなれば、最高なのだが…。

(30代・女性)

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2018年06月16日    ※イラストはイメージです

祖父母の墓

251284.jpg 夫婦別墓が増えそうだという。友人達も夫の墓に入らないと言ってる。こんな世相を祖父母は、墓の中でクスクス笑ってるかもしれない。祖父母は隣同士で墓を並べて仲良く眠っている。

 祖母は一人娘だった。そこへ婿入りした祖父。しかし昭和初期のこと、男子の沽券にかかわると言って、絶対に入籍しなかったらしい。頑迷ではあるが、基本的には楽天家の祖父と、何でも人任せでこちらも超楽天的な祖母は、二人して世間体なんか気にもせず、そのまま籍とは無縁に結婚生活を続けてきた。当然夫婦別姓だったが、特に不便もなく、あっけらかんとしたものだった。だから両親も私も、祖父母の名字が異なる事に何の違和感もなく過ごしていた。

 祖父が先に天国に逝ったが、二人とも平均以上の長寿を全うした。祖父母の別姓を改めて実感したのは、祖父が亡くなった時だ。周囲の者は初めてハタと困った。お墓、どうしようか・・と。

 祖母方には江戸時代から続く代々の墓があった。でも祖父は絶対にそこに入りたがらないだろう、と想像できたから、新たに墓を作り、名前の違う両家の墓が並んだ。

 祖母は墓参時、祖父と自分の祖先の墓の両方にお供えをして手を合わせ「おじいさん、私もいずれ隣に来るからね」と語りかけていた。

 祖父が他界して8年後、祖母は祖父の墓の隣に立つ代々の古い墓に入った。結果的には随分と先進的な祖父母だったということになるのかもしれない。

(60代・女性)
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久々な娘との時間

013231.jpg 娘が昨年に続き、上司から会社のゴルフ大会出場の要請を受け、私も娘のゴルフの腕前を見たくてゴルフ練習場に付きあった。暫くぶりにクラブを握ったせいか10回振っても総て空振り。ゴルフ経験のない私も余りの娘の下手さ加減に笑うわけにはいかないが心の中では大爆笑。

 その後も当たってもチョロと空振りの繰り返し、いくら相手の長所を見抜きモチベーションを上げる事が得意な私でも間違っても「ナイスショット」と声を掛けられる当たりは一発もなかった。

 ゴルフは素人の私だが、ボールを見ないで、ただがむしゃらにクラブを振っている様に見えたので、そこの所をアドバイスすると急にボールが当たり始めた。そこからコツが掴めたのかボールが一直線に200ヤード付近まで飛ぶようになり、したり顔の娘に「ナイスショット」と声を掛けた。

 途中用事があった私は、ボールカードを購入し娘に渡し、「このカードで納得いくまで練習して」と言うと娘に笑顔で感謝された。考えて見れば娘が年ごろになってからは、2人だけでどこかに出かける事は久々な事。私も年齢を重ねるごとに大爆笑などする機会もなかったが、久々に心の中だが笑えた。本当に楽しい時間が過ごせた。

 昨年のゴルフ大会では娘の成績は断トツのビリだったようだが、この天然の娘だからこそ参加させたいのだろうなと上司の気持ちもちょっぴり理解した。

(50代・男性)

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草取り

787291.jpg 小さな庭だが、温暖化のせいか今年は草の伸びるのが早く、夫婦で草取りをすることになった。しゃがみ込み、手や鎌を使って根から抜く作業を繰り返すが、初め「ケーキ入刀以来の共同作業」と冗談を飛ばしていた夫もその後お喋りがなくなった。ただ黙々、ひたすら黙々と腕と手先を動かす。長袖シャツに手袋、頭には麦わら帽子に顔はタオルで頬かむり、その上首にもタオルを巻いたいで立ちで日焼けを防ぎ、汗がじわりと出てくると水分を補給する。慣れない作業に腰が疲れ、足も疲れて膝をついてしまうことがあるが、スルスルと根から抜ける時の感触を味わえる快感は何とも言えない。

 やがて仕上がる。作業を終えて立ち上がり二人同じ動作で腰に手を当てて身体を反り返す時の充実感はたまらず、思わず顔を見合わせ笑みを交わす。こんなひと時をあと何年味わえるのだろうかと思いもする。手を洗い鎌をきれいにしながら、今日の夕食はとメニューを考えていると「寿司でもとらないか」と夫から声がかかる。それも良いと思いすぐに「そだね、特上でね」と答え、久しぶりの夫唱婦随と言って笑い合う。草取りがくれた和やかなひと時に感謝、であった。

(60代・女性)
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2018年05月30日    ※イラストはイメージです

歩く季節

1011101.jpg最近、3歳の双子と歩いて幼稚園に通園している。

普段は車ばかりの田舎の町。暑い夏や寒い冬はとてもじゃないが子供たちは歩かない。

やっと来た朝の光が優しい春。風も涼しく気持ちがいい。

「今日も歩いていくよー!」と私が言うと、張り切って準備する二人。

じゃれあいながら玄関を出て、庭を横切ったところで兄、しゃがみこむ。

「抱っこ」

「えっもう?」

あきれるが、ここで機嫌を悪くすると幼稚園までモチベーションが続かない。

仕方なく抱っこ、少し進むと「やっぱ歩く」

兄は、歩くのが嫌いらしい。

それに比べて弟は、後ろもふりかえらずずんずん進む。進みすぎて、兄を抱っこしながら髪をふりみだし、ダッシュで追いつく。

道の途中、牛舎で繋がれた牛さんにあいさつ。

以前、祖父のお見舞いに行った病院に向かって「おじいちゃーん!」と叫ぶ。

稲の発育状況を見る。

ルーチンワークをこなしていると、やっと幼稚園に到着。大体50分前後かかる。

大変に、疲れる。

でも、こうやって歩けるのも小学校にあがるまで。それに、春と、秋の晴れた日限定。

子供たちと歩ける幸せを感じながら、ぶらぶらと一人で歩いて帰ったら、わずか8分しかかからなかった。

(30代・女性)
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母とブテイック

 テレビもない時代、夕食後にすることは何もなかった。

 ただ一つ、毛糸の巻取りを手伝った思い出は鮮明だ。両方の手首に毛糸を掛けられ、母が黙々と毛糸を巻き取っていく。手首からするすると毛糸が抜けていく。幼い私は、けっこう上手に腕を動かして母の巻取りが楽になるよう頑張っていた。時々毛糸が絡み、母がいざり寄ってきて毛糸をほぐす。静かな夜の点景。手がだるくなるくらい、長時間の時もあったが、私はこの手伝いがきらいではなかった。

648335.jpg 母は手先が器用だ。編み物も裁縫もこなした。遠足のブラウスやスカート、セーターやカーディガン・・人様が感心するほどうまく、私は鼻高々だった。私の人形の服まで、可愛いデザインで何着も縫ってくれた。

 時代とともに既製服が増え、母がミシンを使ったのは私が中学生だった時、ピアノの発表会のドレスを縫ってくれたのが最後だろう。そのミシンもいつの間にか消えた。

 編み物も肩が凝るから、という理由で遠ざかり、編み針や毛糸が詰まった大きな箱は、編み物が好きな私の友人に差し上げてしまった。

 89歳になった母だが、ブテイックを巡るのが大好き。行けば店員に専門的な質問もする。裁縫の知識、関心は衰えていない。でも悲しいかな、母は足腰が衰え、頻繁には行けない。体調と相談しながらできるだけブテイックでの買物に連れて行ってあげたい。

(60代・女性)
posted by ファミリー・プロミス at 17:50 | 「ほっ!と一息家族」エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

娘の引っ越し

 娘の会社の寮が老朽化して建て替え引っ越しをする事となった。今までは家賃は格段に安かったが、私が若いころに住んでいた様な住居で23歳の娘が住むにはちょっと安全面でも心配な所があったのは確かだ。休日に娘が帰ってくるたびに新しい寮の進捗具合を楽しみに語っていたが、ついに完成。入居可能となり妻と同行。引っ越しに手伝いに行った。

739886.jpg 大きな家具等は同僚の男子社員がトラックを借り運びこんでくれたので、カーテンなど妻と娘が休日に新しい物を購入、新調した物を付け替えたり家具のレイアウトをしていた。私は手持ちぶさだったので新築の部屋の掃除を一手に引き受けた。自宅の掃除など妻任せでめったにしない私だが娘の為、隅々まで拭き掃除をした。

 さすが新居だけあり、今までは呼び鈴のみで外部から他人が訪ねて来ても確認できなかったが、新居には録画付きモニターも完備され私が懸念していた安全面も解消された。しっかり者の娘だけに一人暮らしをさせる事に心配はしていなかったが、私と同年代の頃を比べれば本当に大人になっている事に気づかされた。

 仕事ではもう中堅になってきているが上司には信頼され、後輩から慕われている様子も伺われる。だがまじめすぎるので弟の様にもう少し青春を謳歌して欲しいと思う親心もあった。だが他人を思いやれる所が彼女の最大の長所、若いころは二度とない。これからはこの新居で楽しい思い出が沢山作れる事を祈る。

(50代・男性)

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実家を片付けながら

1124873.jpg 父の死後母が長く守ってきた実家。その母が亡くなり、とうとう片付けが必要になった。遠隔地でもあり、短期間でやる必要もあって兄弟とその嫁、夫総出になった。捨てるもの、残すもの、再利用できるものなどに分ける。業者に来てもらって引き取ってもらうことも並行させる。それでも目に見えてきれいになるというものではない。どうしてこんなに多いのだろうと思う。

 が、三日位すると空間が多くなった。やればできる、などと冗談を言いながら、今度はこだわって持ち帰ろうとするものの話になった。真新しいジャンパーが数点あったほか、父の未使用の下着類がたくさん出てきた。今は必要なくともいずれ入用になるといって母が残していたものだ。が、よくみると首の後ろのところにマジックで姓が書きこまれている。

 大きさはよいが、これを着ていて自分が行き倒れになった時には身元不明扱いになる、と夫が言うとじゃあみんなもらっておく、と兄が手を伸ばす。それにしても供養にもなるからと数点もらうことにし、元気なうちに着用しようということになった。変な話のようであっても会話ははずむ。久しぶりの兄弟一緒の作業、湿りがちでないのが大助かりという思いがした。

(60歳・女性)
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2018年04月28日    ※イラストはイメージです

小さな背中

373749.png娘が小学校に入学した。

車で幼稚園に送り迎えしていた日々が突然、ランドセルを背負っての徒歩通学。

教科書と雨合羽でずっしりと重くなったランドセルを準備しながら、入学式の翌日から私は心配でたまらなかった。

そもそも、車がないとどこにも行けない田舎に暮らし、娘にとってはどこに行くにも車だった。幼稚園では遠足に行ったことはあったが、持ち物はお弁当とお菓子程度、移動はバスや電車だった。

距離にして15分程度。入学前に何度か歩く練習をした。その時も、荷物は持っていなかった。果たして歩けるだろうか、ランドセルの重さに肩や腰を痛めないだろうか。近所には同世代はおらず、いきなり5年生と6年生だけの登校班に入れてもらうが、ついていけるだろうか…。

心配は尽きないが、初登校の日がやってきた。

集合場所に着くと優しそうな上級生の女の子たち。促されて登校班の真ん中あたりに入れてもらう娘。

一人だけランドセルが動いているかのような小さな背中の娘を見送りながら、「頑張って」と心の中でつぶやいた。

まだ始まったばかりの小学校生生活。登下校だけでなく心配は尽きないが、これからはそっと後ろから支えていこうと思う。

(30代・女性)
posted by ファミリー・プロミス at 14:23 | 「ほっ!と一息家族」エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月14日    ※イラストはイメージです

新社会人となった息子

 息子が社会人となり10日目が過ぎた。

514681.jpg 昨年企業研修を経て就職内定を頂いてから、夏休みなど会社で先輩、上司から仕事内容を丁寧に教えられ実習を積み重ねたお蔭で、「入社しても初日から即戦力として働ける事ができたよ」と帰宅して嬉しそうに語った息子だったが、入社して1週間が過ぎた頃、一つの現場を設計図を見て自分で計算をしながら作業を進めていく、新人には難関な仕事を任せられ、上司の助言を受けながらも無事に仕事をやり遂げ「自分に合った、やりがいのある仕事に就けて本当に幸せだ」と毎日が充実している言葉を聞き、あの甘えん坊で我儘だった息子が社会人となり急に責任感がある大人になったなと感じた。

 今まで私が溺愛して陰日向に守ってきた息子だったが、学生生活が終わった日。息子からの手紙に「これからは俺がお父さんを守る番だ」と書いてあった。社会人になってから日に日に逞しい男になっていく。本当に父親でいられてよかった。

 息子の成長は私の幸せだ。息子もこれからは挫折も幸せも色々と経験するだろうが、そう遠くない将来、彼女と明るい家庭を築ける事を祈っている。私も一旦父親の役目が果たせた気がした。

(50代・男性)

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ホットコーヒー

962099.jpg メンテの仕事をする夫が帰宅するなり苦笑して話しだした。その日行ったお宅は老夫婦二人暮らし。床がきしむというので、床下に潜って点検したらしい。終わるとおばあちゃんがコーヒーを出してくれた。コーヒー好きな夫はさぞうれしかったことだろう。「それがホットなんだ」と夫。私は吹き出した。

 その日は記録的な猛暑。汗だくで床下から出てきた夫を待っていたのは、熱々のホットコーヒーだったというわけ。

 「でも高齢のおばあちゃんが入れてくれたんだから、ありがたくいただいた。汗が一段と吹き出してきたけどな」

 冷たいコーヒーの方がいいでしょうけど、作り方を知らないもんでごめんなさいって、おばあちゃんは申し訳なさそうに謝ったらしい。おじいちんゃも来て、この暑いのに熱いコーヒーなんか出したのか、っておじいちゃんまで謝ってくれて、夫は恐縮したという。

 人一倍汗かきの夫。どんなにすごい汗が吹き出していたか想像できる。でも夫らしい対応に、ちょっとうれしくなった。

(60代・女性)
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狭いよね、都会の空

 孫の手を引き散歩中のことだ。はるかに飛行機のゴーという音が聞こえ、だんだん大きくなってくる。続いてバリバリバリとヘリコプターの音も。おやおや今日はなんて忙しい日なんだろう、と思っていると、孫が自分から手をほどき仁王立ちし耳を澄まして音を捉えている。

441789.jpg やがて頭の上あたりを通過するな、と思っていると、空に向かって手を振り出した。姿が見えると「あった」と叫び、振る手が一段と大きくなり、満面の笑みを浮かべる。あまりに仰向けになるので背中を支えながら、そうか、好きなんだ、空を駆けるものが、と思っていると、「ばいばい、しているのよ、この子は」とママ。

 「やがて見えなくなるでしょう。だからこの子には、さよならの対象なの」と説明を受け、なるほど、と思っていると、振っていた手を下ろして悲しそうな顔を向けてきた。「どうしたの、飛行機さん行っちゃったから」と聞くと、「ううん、見えなくなるのが早すぎるって言っているのよ」とまたママ。そうかぁ、孫が住んでいるところと違ってこの辺りは見上げる空が狭いから、と気づいた。

 「もっと見ていたかったね。おうちに帰ったらゆっくりと手を振ってあげてね」と慰めの言葉をかけてやり、もう一度手を握ってやると理解したのだろうか、気を取り直したように歩き出した。成長を見る思いがした。

(60代・女性)
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2018年03月09日    ※イラストはイメージです

おむつ外れは突然に

967634.jpg我が家の双子、もうすぐ4歳。

双子ということにかまけて(?)母の私はあまり指導的なことをしてこなかった。一卵性の双子で、そこにいるだけで可愛いし、面白いし、ここまで大きくしただけでも大したもんだし、と変な自負もあった。

それが先日、保育園の先生に、「2人とも色がまだ言えないし、顔を描いてと言っても、目も鼻も口もぐじゃぐじゃだし、おむつも外れてないし・・・」と日頃の思いを一気にぶつけていただいた。

母は衝撃的だった。直視してこなかった双子の能力は、ほかの子供の成長に比べて遅いらしい。その日から焦った。進級して、春には遠足がある。遠足はおむつを外さないといけないらしい。色は3歳児検診の時にチェックされていた。他の子は3歳になればできるものなのか。

急に焦っておむつ外しを試み、色を教え、お絵かきを教えた。先生が言われたとおり、2人とも全然できない。観察していると、2人ともできないから安心している節がある。もしや、一度できたときは褒めて褒めて褒めまくったらうまくいくのでは?

案の定、ある日突然色がすらすらと言えるようになった。ある日突然、おむつの中では排泄しなくなった。突然、上手に目や鼻や口を配置できるようになった。人が能力を獲得していく様をここ数日、つぶさに観察している。

可愛いだけでよかった我が子も、少しずつ自立していると思うと、ちょっぴり切ない気もする。

(30代・女性)
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酔い上手

我が家と義姉の家族が久々に全員集まったので居酒屋で食事会を開催した。皆が集まるなんて数年ぶりである。ましてはお酒を飲むなんて初めての事。

普段は無口な甥っ子は酒を飲むと途端に雄弁で愉快になる。冷静な姪っ子もお酒が入ると笑い上戸。真面目な義姉も梅酒の梅をかき回しながら「いっもより多く回しています」と別人の様にはしゃいでいた。

706555.jpg義姉一家の楽しい別の顔が見られ驚ろかされた反面、親しみが感じられた食事会となった。妻と息子も聞き上手でお酒と料理と愉快な会話を楽しんでいた。運転係でお酒が飲めない娘と、酔っ払いが嫌いで飲み会は最近一切NGの私も4時間もの長時間。飽きる事なく楽しい時間が過ごせた。

誰も不快にさせない全員酔い上手。こんな楽しい飲み会なら何度参加してもいいや。早く他界した義兄も隣で笑っている様に思えた。義姉一家との絆がますます深まった瞬間だった。

(50代・男性)
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伝達式

 最近の母は、老い支度をゆっくりと進めているようだ。ある日、母が部屋に呼んだ。ベッドの上にワンピースが横たわっていた。「懐かしい〜!」と私は駆け寄った。紺色の縮緬素材で涼しげなワンピースは、母が祖母に買ったもの。晩年の祖母のお気に入りで、病院通いによく着ていた。

 明治女の祖母は、人生のほとんどが着物だったが、後半人生は洋服が多かった。しかし靴を履く事はなく、洋服でも足元は下駄や草履だった。アンバランスだが、祖母のそのファッションは愛嬌があり、違和感がなかった。話ずきで愛想がよくて、多くの人に好かれていた祖母。

 祖母のワンピースを手に取ると、鼻先に蘇ったのは、紛れもなく祖母の臭いだった。化粧も香水も無縁の祖母だが、不思議と何かしら時々ほのかに香った。祖母の髪は長く、病床に伏しても髪を束ね丸めた。不器用な祖母だが、髪を結うのは確かだった。祖母と香りが結びつくとしたら、洗髪に使っていた椿油だろうか。清々しい石鹸のような体臭だったのだろうか。生前に聞いておけばよかった。

819223.jpg 「そろそろ処分しようかと思って」と母が呟く。「草履もバッグもあるのよ、ほら」。驚いた。母はこれらをカビも生やさず、シミも作らずきれいに35年余り保管していたのだ。「処分しないで。私が持っておくから」と言うと、母は表情を崩し私に託した。本当はそれを頼みたかったのだろう。

 身辺整理をする母。親にとっても子にとっても寂しい季節だが、この小さな「伝達式」に、祖母が香りとなって参加していたことがちょっとうれしい。

(60代・女性)
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地域ってありがたいね

705614.jpg娘が孫を連れて帰省し帰るという前夜、久しぶりに近くの焼き肉レストランへ行こうということになった。

そして食欲も話も大いに満たされたあとのレジの前。「はいっ」と店主が孫に小さな菓子袋を差し出してくれた。おや、こんなサービスも、と思っていると、「娘さんたちもこのくらいの時によく来てくれていたよね」と語り出
す。

近所だし、確かに娘たちを連れてよく来ていたが、その後は中断といっていいくらい、せいぜい年に数度くらいになっていた。夕方犬を連れて我が家の前を散歩する店主を見かけるたび、近くなのに申し訳ないと思ってきたが、巣立って長い娘たちのことを覚えていてくれたとは、と思うと嬉しさが込み上げてきた。

夜、タクシーで家に帰るとき、この店の名を出すとすぐに行き先を分かってもらえ便利だったと娘が言うと、「先代から長くやっているからね」とか「ここらではうち一軒だから」と応じてくる。

話がはずんでいると脇から「おかし」と言って孫がもう一袋催促しだす。食べ過ぎるからと今度は飴玉にしてもらったが、退屈している合図だろうと思い、店を出ることにした。

帰路、こうやって幼い子たちは見守られるんだ、と娘。地域ってありがたいね、と応じた。

(60代・女性)
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