
最初の一か月間は先輩達から連日注意を受ける日々。私の性格を熟知している妻は落ち込んで帰宅する私を心配して「会社辞めてもいいよ」と言ってくれたが、注意を受けても以前の様に腹が立たない。
私も管理職時代やる気のない部下は注意をしても無駄と見限り、重要な仕事には配置せず、見込みある部下には些細な事でも叱責をしたが責任ある仕事を任せた。その事から注意をされる度「まだ言ってもらえるだけ有難い」と感じ、注意点の修正を続け基本的な仕事は任せて貰える様になった。
それは息子のお蔭でもある。私に似て気難しい性格の息子が上司から叱責されながらも会社の貴重な戦力として成長していく様を見て、私も負けられない気持ちとなっていた。息子と婚約者がデパートに私を誘い高級腕時計を誕生祝いとして贈ってくれた。腕時計を見る度に息子から激励されている様で、上司からの叱責にも耐える事が出来た。
今は自分でも不思議な程素直な気持ちで仕事を学ぶ事が出来る。息子が帰宅する度に「親父頑張れよ」「仕事に慣れてくる頃に事故が起きる。気を抜くなよ」とアドバイスされる。その言葉が私を初心に帰らせてくれる。ありがとう息子よ。
(60代・男性)