引っ越し - ファミリープロミス    ほっ!と一息家族エピソード

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2018年11月05日    ※イラストはイメージです

引っ越し

387371.png引っ越しを宿替えと言ってた時代、私は小学生。引っ越しが決まれば、全て手作業、自前で準備。知り合いにトラックの手配、手伝ってくれる友人知人の手配。母が連日、ありったけの新聞紙で割れ物をくるみ、布団袋に布団を詰める。母の段取りは抜群で最後の最後まで、何一つ不便、不自由することなく、それでいて荷物はきれいに片付いていった。

ところが、引っ越し日が近づくに連れて、台風接近という想定外の不安が押し寄せてきた。母は毎日ラジオを聞きながら台風情報に合わせて荷造りを進めていた。逸れてほしい、との願いも空しく、台風は予定日を直撃し引っ越しは延期。嵐の中で何を食べ、何をして過ごしたのか記憶にないが、部屋の異様な雰囲気が思い出される。

停電の中でろうそくを灯していた事、父はいつも帰りが遅くて一緒に過ごす機会など滅多にないが、台風と引っ越しのお蔭で、ほぼ1日中家族一緒にいたうれしさ。暴風の不安の中で、幼心に家族の絆みたいなものをうっすらと感じていたような。殺風景な室内で妙に充実感があった。

翌日、父の友人が手伝いに来てくれた。いつもと違う時間の経過に、引っ越しというイベントにとても心が弾んだものだ。

トラックの荷台に私は家具や荷物と一緒に乗り込んだ。トラックを吹き抜ける風の爽やかな事! 一段落すると、忙中閑をぬって、母が手際よく、引っ越し先の煩雑な中、おいしいそばを作ってくれた。父の友人もおいしそうに食べていた。

引っ越し業者も、コンビニも、スーパーもなく、ただ自分達でするのが当たり前の時代。そんな時代をてきぱきと切り抜け、やりくりしてきた両親に、今更ながら敬服する。

その後幾度かの引っ越しを経験したが、何と便利なことか。時折去来するのはあの、台風一過の引っ越しにはしゃいだ幼い幸せ。友人知人が総出で手伝ってくれた暖かい引っ越し。昭和の古き良き時代の引っ越しを体験していることを、うれしく思う。

(60代・女性)
posted by ファミリー・プロミス at 13:39 | 「ほっ!と一息家族」エピソード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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